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ゲーム好きマイペース人生の軌跡:年輪日記

就職して子供も生まれて…と、気がつけば10年以上。マイペースなゲーム好きの日常を綴ったブログです。

【レパントの海戦】 感想

勤に1時間ちょっとかかるので、その間を本を読む時間に当てています。
今日も一冊読み終わりました。久々に塩野七生で、『レパントの海戦』。

世界史をちょっと囓ったことのある人間なら誰もが知っている、1571年地中海で行われたキリスト教軍vsトルコ軍の有名な海戦を描いた作品です。これが久々にアタリでした。
1571年地中海で行われたこの海戦、世界史概説レベルではトルコに対するスペイン艦隊の大勝利として扱われています。このときのスペイン艦隊が、アルマダ(無敵)艦隊となるわけです。しかし厳密に言うと、レパントキリスト教軍艦隊はスペインだけでなく、ヴェネツィアヨハネ騎士団といった他の勢力も加わっていました。そのなかでもとりわけ艦船レベルで大きな比重を占めていたのが、海軍国ヴェネツィアです。

塩野さんの本著は、そのヴェネツィアにスポットを当てて描かれたレパント海戦記となっています。そしてこの本の面白さは、海戦の手に汗握る描写と同時に、ヴェネツィア海将たちの魅力的な人物像にあるのです。とくにヴェネツィアの司令を務めた老将ヴェニエル、そして副司令であったバルバリーゴは、読み手を惹きつけるのに十分な雰囲気と生命力をもって描かれています。

過去の資料から歴史的人物、しかもそれほど著名とは言えない人物を完璧に再構成することは不可能です。当然のことながら、この歴史小説に描かれた人物たちも、その経歴をもとに塩野さんによって味付けられた仮想人格なのでしょう。ですから、「火と水」と表現されているこの苛烈な老人と冷静な壮年の男の組み合わせが、実在したかどうかは分かりません。しかし塩野七生の『レパントの海戦』には、不可欠であったと言えます。以前紹介した『コンスタンティノープルの陥落』や『ロードス島攻防記』にはなかった文章技術の上昇と掘り下げられた人物像とが、この作品をその二作品とは一線を画す出来にしているのです。歴史小説が好きな方は、ぜひお読みになられてみて下さい。

ちなみに最近は「修道士カドフェル」シリーズ、新井素子『チグリスとユーフラテス』を読んでいます。これらも時間が許せば感想を書きたいと思っています。あと本とは何の関係もありませんが、「式神」熱が復活しつつある今日この頃。「式神の城II」、面白い…!

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